オススメ度
屋久島と聞いて多くの人が連想するであろう屋久杉。ヤクスギランドとは、その屋久杉が多く見られるトレッキングコースです。
広大な森の中には約0.8km – 約4.4kmの自身の体力状況に合わせて選べる5つのコースが設定されており、お子様連れからお年寄りまで、多くの方々が太古の時代から脈々と受け継がれる屋久島の大自然を堪能できます。
ここへは鹿児島と屋久島を行き来するフェリーの発着所 “安房港”から約15kmほどで行くことができます。またヤクスギランドへ至る車道をさらに奥へと進んで行くと、屋久杉の中でも2番目に有名と言っても過言ではない老樹、紀元杉が見られます。ヤクスギランドへ行かれる際には、合わせて紀元杉も見に行くといいでしょう。
“屋久杉”と普通の杉の違いってなに?

屋久島に生えているから屋久杉である。
この様に思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には屋久島には屋久杉と呼ばれない普通の杉も存在しているんです。
そうなってくると気になるのが、“屋久杉と“普通の杉”の違い”。その条件は以下の通りです。
- 標高600m〜1600mにある杉の木であること
- 人工的に植樹されたものでなく、屋久島の自生林として自然に成長した杉の木であること
- 樹齢が1000年を超える杉の木であること
この条件を満たしている杉の木だけが、屋久杉と名乗れます。
ちなみに日本本土に生えている杉の木と、屋久島で育っている杉の木は植物学的に同じ品種ですが、屋久島の苗木を本土に植えても長寿の杉の木に成長するわけではありません。屋久島ならでは気象条件と土壌が重なるからこそ、杉の木はより長寿に、より太く成長できるのです。
ヤクスギランドのトレッキングコース

ヤクスギランドには全部で5つのトレッキングコースが設定されています。
ふれあいの径コース、いにしえの森コースは木道などが整備されているため、比較的歩きやすい道となります。対してつつじ河原コース、やくすぎの森コース、天文の森コースは途中から登山道に変わるため、山装備をしっかりと準備しておくことが必要です。
いずれのコースでも樹齢1000年を超える屋久杉が見られるので、ご自身の体力、また装備状況に合わせて山歩きを楽しんでください。
コース名 | 距離 (約) | 所要時間 (約) | 難易度 |
---|---|---|---|
ふれあいの径コース | 0.8km | 30分 | 初心者向け |
いにしえの森コース | 1.2km | 50分 | 初心者向け |
つつじ河原コース | 2.0km | 80分 | 中級者向け |
やくすぎの森コース | 3.0km | 150分 | 上級者向け |
天文の森コース | 4.4km | 210分 | 上級者向け |


屋久杉は伐採禁止なのに、なぜ倒木 (土埋木)が多いの?

ヤクスギランドでは、樹齢1000年を超えていたであろう杉の倒木がそこかしこに転がっています。
これらは今から300年ほど前、江戸時代の頃に切り倒された杉の木です。
古来の島民の間では “屋久杉には神様が宿る”と信じられていたため、神木として崇め丁重に扱い、伐採することはありませんでした。
そして、これを変えたのが泊如竹 (とまり・じょちく)、聖人と称された屋久島出身の儒学者です。彼は島の豊富な森林資源の活用を図るため、島民の信仰を説き伏せて島津藩への年貢として納められるように献策します。
屋久杉は当時、主に屋根の材料として使用されていたため、表面が綺麗で通直な木目部分を、切り倒した場所で選別し運んでいました。島内で見られる倒木はその名残であり、当時必要とされなかった部位が、今なお朽ちることなく残り続けています。
この長い年月の間、島に放置されている屋久杉の倒木のことを “土埋木 (どまいぼく)”と言います。
島の土産屋に並ぶ民芸加工品は、この土埋木を利用して造られたもの。お箸や数珠、さらには精巧に作られた木彫刻まで、活用方法は様々です。当時屋根材になれなかった屋久杉達の第2の人生というべきでしょうか。

ただし、この土埋木の入札市は2019年を最後に終わってしまっています。そして森林保護の観点からも今後島の奥から土埋木が運び出されることもないでしょう。
近い将来、屋久杉の加工品がプレミア価格となっていても不思議ではありません。

ヤクスギランドに残され続けている土埋木。表面には苔が蒸し、またそこに草木の種子が着生し、新たな生命を育くむ土台となっています。
今から数十年後、数百年後のヤクスギランドには一体どのような光景が広がっているのか、楽しみでなりません。
ヤクスギランドと合わせて巡りたい“紀元杉”

ヤクスギランド前の舗装林道をそのまま約5.5km上って行くと、道路のすぐ脇に立派な屋久杉がそびえ立っています。
この屋久杉は “紀元杉”と呼ばれる推定樹齢は3000年の老樹で、高さは19.5m、周囲は8.1mもあります。

この大木にはナナカマド・ヒノキ・ヤマグルマ・サクラツツジなど、19種類もの植物が着生しており、紀元杉に寄生をするわけでもなく共存しています。道路脇にあるため簡単に行くことができ、屋久島の自然の営みをより間近で感じることができるでしょう。
また、舗装林道はそのまま淀川(よどごう)登山口まで続いています。
そこは、九州最高峰の宮之浦岳や縄文杉を経由しながら、白谷雲水峡まで抜ける全長40kmの縦走路の起点であり、踏破したいと考えられる方は相応な準備と計画が必要になります。
ヤクスギランドインフォメーション

オススメ度
名称
ヤクスギランド
住所 [Google Map]
〒891-4311 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房0
営業時間
8:30 – 17:00
定休日
年中開放
*冬季は雪のため通行止めの場合あり。
入場料金
¥500 (高校生以上)
白谷雲水峡で、200円割引券を配布しています。
駐車場
あります
公式サイト
http://y-rekumori.com/yakusugi_text/
ヤクスギランドへのアクセス
所要時間は目安です。最適な乗り換え順路は検索時間により異なります。
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