全国にあるお寺は、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンを足した数より多く、その数7万5千寺以上。
そしてそれらお寺を参拝した際に、“観音様 (観音菩薩)”へ参拝したご経験はありませんか?
今回はその観音様について。観音様の意味や、如来や仏様との違いについてご紹介します。
あなたは知ってる?「観音様」の意味

東京浅草寺は別称 “浅草観音”と親しまれていたり、神奈川、広島には “観音”と呼ばれる地名があるため、非常に聞き馴染みのある“かんのん”。
ではこの観音様 (観音菩薩)にはどのような意味があるのでしょうか。
観音菩薩は、一般的に“観世音菩薩”を指す略号です。
観世音菩薩は人々が救い求める声を聞くと、助けの手を差し伸べてくれる求道者 (悟りなどを求めて修行する人)を意味しており、救う相手によって姿形を化すると言われています。
尚、偽経 “観世音菩薩往生浄土本縁経”によると、観世音菩薩は転生する前の過去世において、バラモンである長邦(ちょうな)の子どもの早離 (そうり)だったとされています。
早離には速離 (そくり)という兄弟がいましたが、2人は騙されて無人島に捨てられ、餓死することとなります。
そして早離は死に際に、「生まれ変わったら自分たちのように苦しんでいる人たちを救いたい」と神様へ誓いを立てて、観音菩薩へ変わったとか。
実は33人も居る!?観音様の種類



観世音菩薩はありとあらゆる者の苦しみや願いを聞くために、様々な姿へ变化します。
有名な風姿は6種類あり、これらをまとめて “六観音菩薩”といいます。
名前 | 特徴 | 代表的なお寺 |
---|---|---|
聖観音 (しょうかんのん) | 人間にもっとも近い風姿で、観音様の変化前のお姿です。 | 浅草寺 (東京) |
十一面観音 (じゅういちめんかんのん) | メインの顔以外に10~11面の顔を持つ観音様です。 | 室生寺 (奈良) |
千手観音 (せんじゅかんのん) | 一般的に顔は11面、腕が42本持っている観音様です。 | 三十三間堂 (京都) |
馬頭観音 (ばとうかんのん) | 肌の色は赤く、顔面は忿怒(ふんぬ)の表情をしています。馬の守り神とされています。 | 輪王寺 (栃木) |
如意輪観音 (にょいりんかんのん) | 6本の腕を持ち、片膝を立て座っているか、腰掛けています。 | 石山寺 (滋賀) |
准胝観音 (じゅんでいかんのん) | 片膝を立て座っているため如意輪観音と似ていますが、3つの眼で、18本の腕を持っています。 | 高野山金剛峯寺 (和歌山) |
また、六観音菩薩の他にも、江戸時代に刊行された土佐秀信作の “仏像図彙 (ぶつぞうずい)”という書物では、33種類もの観音様の姿が描かれています。
仏教の中では“3”は無限を意味する重要な数字とされています。そのため関東、東北などでは、観音様を祀る33の札所をまとめた“三十三観音”を巡る、観音巡礼が行なえます。観音様は救いを求める者の前に現れる優しい仏様ですが、お手をわずらわせないためにも、自分から札所巡りへ赴いてはいかがでしょう。
仏様・観音様・如来の違い

社寺仏閣では祀られている御本尊を指し示して、“観音”や“如来”、“仏様”といった表現が用いられていますよね。
言葉として知っていてもちゃんとした意味までは知らないという方もいることでしょう。
まず仏様について。仏様とは故人を敬っていう言葉です。
ご先祖様の位牌などをお祀りする仏壇を指して “仏様”と言い表すこともありますし、如来・観音様を指して仏様と言っても間違いではりません。
次に、観音様と如来の違いについて。
観音様とは前の項でも少し触れた通り、悟りを開くために修行中の仏様のことで、人々へ救いの手を差し伸べるためにあえて悟りを開いていない仏様とも言われています。
そして如来とは、観音様よりさらに位の高い、悟りを開いた仏様のことを指します。

日本全国には観音様をお祀りしている寺院が沢山あるほか、神奈川や広島には観音と呼ばれる地名があったりと、生活の場に広く浸透している観音様。
如来には如来様と敬称をつけないように、本来は観音様も観音菩薩と言い表すのが適しているのでしょう。しかし、民衆とより密接な関係にあった観音菩薩が、親しみをこめて“観音様”と呼ばれるようになったのも、自然な流れなのかもしれませんね。