『南部鉄器』で沸かすと味がまろやかになるってなんで? ふるさと納税でも手に入る鉄瓶のメリットから育て方まで幅広くご紹介します♪

岩手県盛岡市・奥州市で作られ続けている、歴史ある伝統工芸品 “南部鉄器”。
近年は彩り美しいカラフルな鉄器が登場するなど、国内をはじめ海外からも注目度があがりつつあります。

今回はそんな南部鉄器について、メリットから使い方、おすすめブランドまで広くご紹介していきたいと思います。

目次

岩手県の伝統工芸「南部鉄器」とは

南部鉄器とは、岩手県の盛岡市・奥州市などで造られてきた伝統的な鉄鋳物のこと。
盛岡の南部鉄器の歴史は今から約380年前の江戸時代中期ごろ、藩主が京都から釜師や鋳物師を招いてお茶の湯釜を造らせたのが始まりとされています。
一方、奥州市の南部鉄器の始まりは約930年前の平安時代後期まで遡るとされており、当時東北一帯を納めていた奥州藤原氏が、京都や近江の国 (現在の滋賀県)から鋳物師を招致して、鉄鍋釜などを造らせ発展を遂げたそうです。

鉄鋳物とは、高温でドロドロの状態になった鉄を鋳型に流して整形する技法のことで、南部鉄器は全てこの鋳鉄で造られており、“冷めにくい・熱が均一に伝わる・焦げ付きにくい”などのメリットが挙げられます。
また通常、鉄鍋や鉄のフライパンなどで調理したものは、時間が立つと “鉄臭さ”が出てしまうものですが、手入れがしっかりされた南部鉄器は鉄臭くならない特徴があります。

特に南部鉄器の鉄瓶で沸かした白湯は、鉄が水のカルキを吸着してくれるため、味が “まろやか・優しい・甘い”と評判です。いつも飲み慣れたお茶もさらに美味しく感じられることでしょう。

南部鉄器の使い方とお手入れ方法

南部鉄器は鋳造で造られている鉄製の工芸品。通常の鉄板などと比べて30倍もの炭素を含んでいるため、錆びにくいのが特質があります。
ただし錆びにくいからといって、決してメンテナンスフリーの代物というわけではなく、むしろ湯沸かし目的なら電気ケトルの方が圧倒的に利便性に長けています。
しかしそれを差し引いても南部鉄器で沸かすお湯には、他にはないまろやかさがあり、手入れを怠らないことでいつまでも愛用し続けられるため、愛好家も多い工芸品となっています。

新品の南部鉄器を買ったら、“慣らし”作業が必要です。

新しい南部鉄器を手に入れたら、使い始める前にまず慣らしの工程を行いましょう。
ここでは鉄瓶の場合と、鉄鍋の場合をご紹介します。

新品の鉄瓶を使い始める場合

本体を軽くすすいだ後、“硬水”を8分目位まで注ぎ、中火で沸騰させて捨てる。これを2〜3回繰り返してください。(湯を捨てた後に、予熱で一度乾燥させましょう)

この工程を繰り返すことで、底に“白い湯垢”が付くようになります。白い湯垢の正体は、水分中のミネラル成分が付着したものであり、決して汚れではありません。
この湯垢が鉄瓶にあることで、錆びにくく、柔らかくも美味しい白湯が作れるようになるのです。

新品の鉄鍋を使い始める場合

炒めものなどで鉄鍋を使う場合は、生姜やネギといった香りの強い“野菜くず”で炒めます。この慣らしを行うことで、鉄鍋特有の鉄臭さを消すことができます。これには鍋の油ならしの意味も込められています。
尚、煮物等を作る用途の場合は、同じく野菜くずを使って一度煮るようにしましょう。

鉄瓶を火にかける時は、上蓋をずらしましょう

鉄瓶でお湯を沸かす際は、蓋を少しズラすか、蓋を外して蒸気抜きをしながら火にかけましょう。
ちなみに上蓋も本体と同じく鉄製であるため、とても熱くなる部分です。沸騰した白湯を注ぐ時は、布巾などで押さえながら扱うようにしましょう。

南部鉄器を使い終わったら。使用後のお手入れ方法

鉄瓶を片付ける際は、残ったお湯は急須や湯呑へ移し替えて、鉄瓶の中身を必ず空の状態にしましょう。
蓋を取って、瓶の予熱等を利用して完全に乾かせばお手入れ完了です。

尚、前述の通り使い続けることで、白い湯垢は底に溜まっていきます。これらは味わいをまろやかにする秘訣でもあるため、洗い落とさない様に注意しましょう。

白い湯垢の正体は水分に含まれていたミネラル成分です

南部鉄器はIH対応品になります

南部鉄器は古くから盛岡市また奥州市で育まれてきた伝統工芸品であるため、近年主流になりつつあるIHクッキングヒーターとは、とても相性が悪そうに感じます。

しかし実際はその逆で、南部鉄器は熱伝導率に優れる鉄であるため、IHととても相性の良い調理用品と言えます。
ただし、あらかじめ南部鉄器の底面がフラットでクッキングヒーターに密着できるかを確認しておきましょう。密着しない場合はヒーターが反応せず、温められない可能性があります。
またヒーターの対応サイズ以下の鉄器も使用できませんが、ホームセンター等で手に入る『IHヒーティングプレート』等を介すことで小さい南部鉄器でも扱えるようになります。

南部鉄器を買うなら “ふるさと納税”をチョイス!

岩手県の伝統工芸品である南部鉄器を買うとなったら、やはりその土地で造られた“本物”が欲しいですよね。
ふるさと納税サイトの『ふるさとチョイス』、『さとふる』でも、南部鉄器が販売されていますので、税金の還付・控除を受けながらお得に南部鉄器を買うことができますよ。

ふるさと納税サイトで南部鉄器をチェック!

伝統的な南部鉄器を造り続ける人気メーカー

南部鉄器を造っているブランドにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは盛岡市、奥州市に根ざし、南部鉄器を造り続けるメーカーをご紹介します。

IWACHU

岩鋳 (IWACHU)は1902年(明治35年)に創業し、盛岡の地にて100年以上の歴史ある老舗鋳造メーカーです。
伝統を重んじながらも、現代の感覚にマッチした製品開発も積極的に行っており、国内のみならず海外でも愛される南部鉄器を手掛けています。

ホームページhttps://iwachu.co.jp/

OIGEN

OIGEN (及源鋳造)は1852年(嘉永5年)に創業した、及川源十郎鋳造所を前身とする鋳造メーカーです。
同社の特徴はその“美しい鋳肌”にあります。触り心地よく耐久性ある製品は、職人たちの卓越した技術の賜であり、2000年代に入ってからも革新的な技法“ネイキッドフィニッシュ”を考案するなど、現代にフィットする様に南部鉄器を洗練させ続けています。

ホームページhttps://oigen.jp/

ITCHU-DO

壱鋳堂 (ITCHU-DO)は2009年に立ち上げがされたばかりの新しい鋳鉄ブランドです。
デザイナーは数々のデザイン実績を持つ中村義隆氏が務めており、同氏が手掛けた南部鉄器のティーポットは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のカフェで採用されるなど、伝統と現代のエッセンスが折り混ざった魅力的な一品となっています。

ホームページhttp://www.itchu-do.co.jp/

及春鋳造所

岩手県奥州市の及春鋳造所では、現在主流である鋳造方法の “生型鉄瓶”で鉄瓶が造られているほか、伝統的な製作方法の “焼型鉄瓶”でも製作が行われており、往年の南部鉄器が手に入ります。

ホームページhttp://www.oiharu.com/


知れば知るほど歴史と奥が深い南部鉄器の世界。きちんとしたメンテナンスを行っていれば一生物として、また次の代へと受け継げる一品です。

この機会に皆さんも、使い込むほどに味がでてくる南部鉄器デビューをしてみてはいかがでしょう。

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