花火遊びで欠かせない線香花火。
火玉が膨らみチリチリと燃える様はどこか儚げで、一時の輝きについ見惚れてしまうものです。
皆さんはこの線香花火について、どこまで知っていますでしょうか?
なんとなく「日本発祥だろう」とわかっていても、1990年代後半に国産の線香花火の生産が、無くなってしまう寸前だったことまでは知らないのでは?
今回はそんな国産の線香花火の歴史から、1万円以上する超高級な線香花火までを紹介していきます!
花火の歴史と手持ちの線香花火の歴史
打ち上げ花火のルーツはフィレンツェにあり

日本人にとって夏の風物詩とも言える打ち上げ花火。
文化的にとっても身近な存在であることから、日本発祥の物と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかしその認識は誤りであり、現在の様な打ち上げ花火が誕生したのは14世紀後半のイタリア・フィレンツェとされています。当時のヨーロッパではキリスト教の宗教行事に花火が用いられており、祭りを盛り上げる目的で急速に普及していったのだとか。
そして日本へと打ち上げ花火が伝わったのは、安土桃山時代~江戸時代の頃と言われています。そして初めて打ち上げ花火を観た日本人は、徳川家康だったという話は有名ではないでしょうか。
ただし、徳川家康が打ち上げ花火を観たとされる1613年 (慶長18年)よりも前に、キリシタン大名である大友宗麟が1582年 (天正10年)に観たとする記録や、1589年 (天正17年)に伊達正宗が観たとされるものまで見つかっており、どれが正しいかはわかっていません。
線香花火の発祥は日本。その歴史はいつからか

打ち上げ花火の由緒はわかりました。では、儚くも美しい線香花火のルーツはどうでしょうか。
その歴史は江戸時代の頃まで遡ります。

火薬は中国、打ち上げ花火はヨーロッパが発祥となりますが、線香花火は江戸時代の日本で誕生、発展を遂げた花火となります。
当時関西地方は稲作が盛んだったため、藁が豊富に手に入りました。そしてワラスボ (稲藁の芯)の先に、膠 (にかわ)などで黒色火薬を塗って作る“すぼて花火”が遊ばれるようになり、これが線香花火の原型と言われています。
当時のすぼて花火は火薬を下ではなく上向きにして、火鉢に立てて遊んだそうです。そしてこの姿が仏壇に備える線香に見えることから、線香花火と呼ばれる様になったのだとか。

ちなみに現在、線香花火として一般的な紙で作られたものは、関西地方で生まれたすぼて花火の関東版となります。関東では稲作ではなく、紙すき産業が盛んだったため、ワラスボの代わりに紙が使われるようになりました。このタイプの線香花火を “なが手花火”と言い、今と同じ下向きにして遊びます。
それから300年もの間、形が変わることなく現代日本の文化として、夏の風物詩として、線香花火は庶民に愛され続けているのです。
その歴史・伝統が消滅する寸前だった、国産の線香花火
長い歴史のある線香花火はその昔、全国各地で造られており、中でも信州、三河、北九州は線香花火の三大産地と呼ばれるほどでした。
しかし、1970年代に入ると中国からの輸入品が出回りはじめ、国産線香花火は徐々に衰退の一途を辿ることとなります。
国産の線香花火産業はまさに風前の灯火の状態。1999年には福岡の八女にあった、最後の線香花火製造所を廃業となったことで、一時は完全に市場から姿を消してしまいました。
しかし、数百年の歴史ある線香花火の伝統を絶やしてはならないと、各地で継承の気運が高まります。
そこで海外製の1本1本の値段では勝てないため、国産品は高品質をうりに再生を図ることに。結果この戦略が現代へと繋がり、今では3社の花火製造所が国産線香花火を造り続けています。

線香花火は火を付けてから尽きるまで、4つの段階があり、それぞれに名前が付けられています。
そして最後の尽きかける淡い燃え方は “散り菊”と呼ばれますが、言わば国産の線香花火産業はこの散り菊の状態から見事、復活を遂げたわけです。
国産 線香花火は高級品!いったい値段はどれぐらい?
品質を追い求めた国産線香花火は、通販サイトなどを見ると海外製に比べて値段は高めです。商品にもよりますが、大体2倍~4倍の価格差となっています。
しかし安いの線香花火は、火種がすぐ落ちてしまったり、上手く点火できなかったりと品質が安定していない場合もあります。それらを加味すると国産線香花火は決して高すぎるといったわけではありません。
国産線香花火には、1万円超えの最高級品もあり! 「花々 (はなはな)」

プレミアム路線を突き進む国産線香花火の中で、特に高品質・高価格な線香花火が、福岡県みやま市の玩具花火メーカー “筒井時正玩具花火製造所”が販売する「花花 (はなはな)」という商品です。
職人の熟練した技術により、線香花火の持ち手部分を花びらのようにあしらわれており、一輪一輪を束ねることで「花」を表現している一品です。
松煙は宮崎産、八女市の手漉き和紙、そして和紙を色付ける染料にはエンジュ、クチナシ、蘇芳 (スオウ)といった天然素材が使われ、また入れ物となる桐箱には、ハゼの実から作られた和蝋燭と、山桜のロウソク立ても同梱しています。
価格は1万490円 (税込み)のプレミアムプライスですが、その夏をプレミアムなものに彩ってくれることはもちろん、特別な人への贈答品としてもオススメです。
通販できるオススメ「高級線香花火」
スボ手牡丹 (筒井時正玩具花火製造所)
超高級の国産線香花火を手掛ける筒井時正玩具花火製造所からは、先程の花々以外の線香花火も販売されています。
まず紹介するのは、現在主流の線香花火のルーツである「すぼて花火」。線香に見立てて火鉢に挿す、昔ながらの花火を楽しめます。
長手牡丹 (筒井時正玩具花火製造所)
同じく筒井時正から。こちらは関東版の線香花火である「なが手花火」です。
蕾から散り菊まで、美しく咲き乱れる花火を楽しめます。
冬の、できたて線香花火 (筒井時正玩具花火製造所)
夏のイメージが強い線香花火ですが、すぼて花火の製造条件に「気温と湿度が低いこと」が挙げられるため、同社のすぼて花火は冬時期の寒い日に造られます。
生鮮食品はもちろんですが、線香花火も出来立てが良いのかも?また冬は空気が澄んでいるため、いつもの線香花火に比べてより綺麗に楽しめるかもしれません。
大江戸牡丹 (三州火工)
愛知県額田郡幸田町にある花火メーカー“三州火工”では、3種類の線香花火が造られています。
家族で楽しめるものからラッピングがおしゃれなものまで、幅広く取り揃えられており、どれにしようか迷ってしまうほどです。
牡丹桜 (三州火工)
火STORY (三州火工)
花火の歴史にはじまり、線香花火のルーツ、そしておすすめの純国産 線香花火までを幅広くご紹介しました。
300年もの歴史があり、伝統を継承しながらも未だ進化を続ける線香花火の世界。次に花火をする機会がありましたら、国産線香花火のことを思い出してみてください。