日本刀の作り方。作刀行程を詳しく解説します!

古来の日本では武器として使われていた日本刀。
現代でもその洗練された美しさは衰えることなく、伝統の美術・工芸品として、高い価値を持ち続けています。

その日本刀がどの様な作刀行程を踏んで出来上がるか、皆さんはご存知でしょうか?
この記事では、日本刀の製作手順を一つずつ丁寧に紐解いていきます。

目次

刀鍛冶は狭き門

日本刀を作る職人を意味する言葉は、刀鍛冶(かたなかじ)、刀匠(とうしょう)、刀師(かたなし)、刀工(とうこう)と様々あります。
中でも一般的なのは刀鍛冶でしょう。

現代の日本では帯刀が許されていないため、伝統工芸品としての域を出ませんが、その切れ味は鋭くそのまま武器としても使用ができるため、国家資格が必要となります。

刀鍛冶を生業にするのはとてもハードルが高く、1989年に300人いた刀工も、2017年には188人まで減っており、またその中でも“実際に刀鍛冶を本業とし、刀鍛冶だけで生計を立てている人は全国でも30人あまり”と言われています。

日本刀の作りは“素材の準備”から始まる

玉鋼の用意

日本刀の素材に使われる最も重要な素材は、玉鋼(たまはがね)と呼ばれる上質かつ製錬された鋼です。

玉鋼はたたら製鉄によって精錬された物が用いられることが一般的で、現代の日本でたたら製鉄を行っている製鉄所は”日刀保たたら(島根県奥出雲町)”のみ。今でも工芸品として日本刀が作られていますが、全てここの玉鋼と言うことになります。

この玉鋼は日本刀の製作過程でどんどんと減っていきます。
刀身に対して約10倍の重量の玉鋼が必要と言われており、例えば1kgの刀を作るのには10kgの玉鋼が必要となってきます。

たたら製鉄は、江戸時代に山陰地方で栄えた製鉄技術でした。しかし、開国によって西洋式の製鉄・製鋼技術が取り入れられたことで大正期に廃絶となります。太平洋戦争時に軍刀需要が増えたため、島根県内に”靖国たたら”を創設し稼働しましたが、その後の敗戦により再び廃絶。
日刀保たたらは、この靖国たたらの跡地に、公益財団法人日本美術刀剣保存協会によって1977年に開設された、唯一のたたら場となります。

水へし

玉鋼を硬い玉鋼と柔らかい玉鋼に選り分ける”水へし”という作業を行います。
低温で熱した玉鋼を叩いて馴染ませ、少しずつ熱を加えていきます。その後に再び叩き伸ばし、水に入れて急速に冷やします。

冷めた玉鋼を叩き割ると、断面の綺麗な玉鋼と、粗面の玉鋼に分けることができます。
これは炭素量の違いによって生じるもので、断面が綺麗な玉鋼は硬く、皮鉄(かわがね)と呼ばれ、刀身の外側として刃にもなります。対して、粗い玉鋼は柔らかく心鉄(しんがね)と呼ばれ、刀身の内側部分の真として使われます。

この皮鉄と心鉄の選別作業はとても難しく、工匠の熟練した腕と目利きが必要となります。

折り返し鍛錬

玉鋼を鍛錬できる様に、内部まで均等に熱します。
その後、玉鋼を叩いて、伸ばして、また折り曲げる”折り返し鍛錬”を行います。

玉鋼の温度が下がってくれば、火床で加熱し、再び叩く。
この行程を皮鉄(※)は15回程、心鉄(※)なら10回程繰り返します。

この作業を行うことで、玉鋼に含まれていた不純物は取り除かれ、炭素量が均一化された強度の高い鋼が出来上がります。

職人によって一本一本打たれる“刀身作り”

造り込み

この行程では、別々に鍛錬した皮鉄と心鉄を合わせていきます。
皮鉄と心鉄が一体化するまで、ひたすら加熱と鍛錬を繰り返します。

「間に合わせに知識や技術などを身につけること」を”付け焼き刃”と表現しますが、これは刀鍛冶用語からきたものです。
切れ味の悪い刀身に鋼を付け足したところで、すぐに刃こぼれを起こしてしまうということから生まれた言葉です。

素延べ

作り込みの行程を終えた鉄を、一本の棒状へと伸ばす作業のことを言います。
この際に伸ばし方が均一でなかったり、心鉄が外へはみ出さない様に注意が必要です。

またこの行程内で、刀の先端部分の鋒(きっさき)と、持ち手側の端部に茎(なかご)と区(まち)を整形します。

火造り

刀身の棟(むね)側を通る鎬(しのぎ)を整形する”火造り”の行程。
玉鋼の素材から鍛錬を重ね、形を変えつづけてきましたが、次第に日本刀への形に叩き慣らされていきます。

荒仕上げ

この後、焼き入れの行程へと進んでいきますが、その前に鉄を削ることができる道具のセン・ヤスリや、砥石を用いて、形をある程度整えます。

刀匠の熟練された技が輝る“仕上げ”

土置き

“土置き”では、刀身に焼刃土(やきばつち)を塗布していきます。
硬度を出したい部分は焼刃土を薄めに塗り、他の部分には厚めに塗っていきます。

焼刃土の厚みが異なる境目に刃文が現れるため、作り手によって違いや味が出る行程です。

焼刃土は、耐久性ある粘土と、木炭や砥石の粉末を水に加え、調合したもの。この配合比率は刀匠によって違い、日本刀の仕上がりも変わってきます。

焼き入れ

塗布した焼刃土が十分乾いたら、均一に熱しながら加熱していきます。
刀身が熱を帯びてくると、次第に赤く光り輝いていきます。その色合いをよく観察しながら温度が800度まで達したら、水に付けて刀身を一気に冷やします。

急激に温度が下がると、膨張していた刀身が収縮し、鎬側に反り返っていきます。
日本刀ならではの綺麗な稜線は、最後の焼き入れ行程で出来上がることから、匠にとっても緊張の瞬間です。

鑢(ヤスリ)目

持ち手となる柄部分に収まる、茎(ナカゴ)をヤスリがけしていきます。
茎の面がザラザラしていると、刀身が柄から抜け落ちるリスクを減らすことができます。

また、時代とともに茎にも美観が求められる様になりました。
ヤスリがけによって入った細かな傷で、日本刀の時代や流派が特定できるため、鑑定をする際に参考となる場合があります。

樋入れ・彫刻

日本刀によっては、刃の背面にあたる棟の部分に、溝が彫られている場合があります。
そのくぼんだ溝のことを“樋(ひ)”と呼び、この行程で加工されます。

樋入れが行われる目的は、刀身の軽量化、また日本刀の美しさを引き立てるため、風切り音を出しやすくするため等、様々な理由が挙げられます。

樋入れがされていない刀で風切り音を鳴らすのはとても難しく、熟練の剣士でないとできない芸当です。
風切り音を出しやすくする樋は、相手に“自分は風切り音を出せる程の技術を持った武士”であると威嚇する目的でも彫られていました。

銘切り

銘(めい)とは、金属製の器具に刻む製作者の名前のことです。
刀鍛冶は自身が製作した刀である証明のために、タガネを使って茎に自身の名前と、製作年月日等を彫り込みます。

研ぎ

荒仕上げの行程でも登場した加工治具センとヤスリを使用して、日本刀の形を整えていきます。

そして整え終えたら、刀鍛冶から研師へとバトンタッチ。砥石でひたすら研いでいきます。
研ぎのはじめは荒砥石を使って研ぎ始め、どんどんと番手を上げていき、刀身の地肌が青みがかった色となったら終了です。

また、この行程の後には、刀に浮かび上がった文様をさらに際立たせる研磨作業などもあります。

日本刀製作は、刀鍛冶、研師をはじめ、柄に彩飾を施す細工師(銀師)、そして日本刀を収める鞘を作る鞘師など、様々な熟練した職人の手によって行われます。

作刀行程はまだまだ続く……

作刀にはこの後も、金具作り 鍔、さや研ぎ、仕上げ調整など、もう少し行程が続きますが、今回は、刀鍛冶が行う行程にスポットをあててご紹介してきました。

長年培ってきた経験と技術が非常に重要となる日本刀作り。
もし興味があって、実際に生業として志望する人は、現在刀鍛冶として活動している職人に、弟子入りする必要があります。
弟子を採ることに消極的な職人も多くいる世界ですので、よほどの覚悟を決めてから、門を叩くことをオススメします。

刀鍛冶になりたい方へ (外部サイト:全日本刀匠会)

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