花見団子はなぜ3色なのか?季節の和菓子を月ごとに紹介【日本の教養】

日本の文化と切っても切れないのが”季節”です。
四季がはっきりとした日本では春夏秋冬それぞれの季節と、文化や生活が密接に関係してきました。

もちろん和菓子も例外ではなく、季節感あふれる様々な菓子があります。
今回はそんな季節ごとの和菓子とその由来や歴史をご紹介します。

目次

花見団子の3色に秘められた江戸の風流とは

「花より団子」なんて言葉もある通り、お花見のお菓子といえばお団子が浮かびますよね。
そのはじまりは、かの豊臣秀吉が春に大茶会を開き、日本中の甘味を集めて披露したのがきっかけといわれています。
以来、江戸の庶民にも花見をしながら甘味を楽しむ文化が徐々に広まっていったようです。

花見の団子はなんで三色団なの?
「赤」は桜で春の訪れを、「白」は白酒で冬の名残を、「緑」はよもぎで夏の予感を表しているといわれています。
秋がないのは「飽きない」という意味があり、江戸の駄洒落文化が伺えます。

また、串にさす順番は上から「赤→白→緑」と決まっており、赤いつぼみがつき、白い花が咲いた後、緑の葉が茂る、桜の様子を表しているのだとか。
なんとも風流な意味合いが込められていたんですね。

同じ和菓子でも四季で変わる呼び名

例えば、上の写真の“おはぎ”はコンビニやスーパーでも売ってる定番の和菓子ですよね。
実はこの“おはぎ”、季節ごとに違う呼び名があるのをご存じですか?

春:ぼたもち
春のお彼岸に食べられており、牡丹の花に見立てて『ぼたんもち→ぼたもち』と呼ばれるように。

夏:夜船(よふね)
米を潰して作るおはぎは、杵と臼で餅をつく時の音が出ません。
そのため、米を“ついた”のがいつか分からない→夜は暗くて船がいつ“着いた”か分からない→『夜船』と呼ばれるようになりました。
江戸の駄洒落文化ですね。

秋:おはぎ
秋の七草のひとつである萩の花と、小豆の形状が似ており『おはぎもち』と呼ばれていたのが『おはぎ』になりました。

冬:北窓(きたまど)
米をつかない→月知らず(つきしらず)→冬の北の窓には月が見えないことから『北窓』と呼ばれるようになりました。

“おはぎ”ひとつとっても季節ごとの呼び名があるあたり、昔の人は四季を大切にしていたのが伺えますね。

日本の四季を彩る1月~12月の代表的な和菓子を紹介

ここからは1月から12月まで、月ごとの代表的なお菓子をご紹介します。
馴染みのあるお菓子から伝統ある茶道のお茶菓子まで、季節感のあるものをチョイスしました。

1月の和菓子/茶道の初釜で出される『花びら餅』

1月:旧暦/睦月(むつき) 季節/初春

年初めに、初めて釜に火を入れる茶道の行事を“初釜”と言います。
その初釜のお茶菓子に出されることで有名なのが「花びら餅」です。

白い餅の中に、小豆の赤い汁で色を付けた餅と、白味噌餡、甘く煮た「ふくさ牛蒡(ごぼう)」を挟み、紅い餅が透けて美しく、お正月にもピッタリな雅やかなお菓子ですね。

花びら餅は京都のお菓子でしたが、明治時代に裏千家十一代家元の玄々斎が初釜で使うことを許可され、新年のお菓子として全国の和菓子屋に広まっていきました。

2月の和菓子/日本最古の餅菓子ともいわれる『椿餅(つばきもち)』

2月:旧暦/如月(きさらぎ) 季節/仲春

椿餅はあの源氏物語にも登場し、平安時代から食べられている由緒あるお菓子です。

◆源氏物語 若菜上
「椿い餅、梨、柑子やうのものども、様々に筥の蓋どもにとりまぜつつあるを、若きひとびと、そぼれとり食ふ」
(訳:若い人々が蹴鞠で遊んだあとはしゃぎながら椿餅を口にした…)

こし餡を道明寺で包み、上下を椿の葉で挟んだシンプルなお菓子。
茶道では2月の代表的なお茶菓子としてふるまわれることの多い一品です。
また、写真は昔の椿餅をイメージした黒っぽい道明寺を使用していますが、今は白いものが主流です。

3月の和菓子/豊臣秀吉が名付けた『鶯餅(うぐいすもち)』

3月:旧暦/弥生(やよい) 季節/晩春

「鶯餅」は餡を求肥などで包んだものを左右にひっぱり、うぐいすの形にした和菓子です。

天正年間(1580年代)に、郡山城の城主であった豊臣秀長が、兄の豊臣秀吉を招いた茶会を開き、「珍菓を造れ」と命じられた御用菓子司の菊屋治兵衛が餅をつくり献上しました。
秀吉はその餅を大いに気に入り「以来この餅を鶯餅と名付けよ」と菓銘を下賜しました。

「菊屋」は現在も同じ場所で営業しており、当時通りウグイス粉ではなく、きな粉をまぶした鶯餅を作っています。

4月の和菓子/300年の歴史が今に続く『 長命寺 桜もち』

4月:旧暦/卯月(うづき) 季節/初夏

享保2年(1717年)に将軍だった徳川吉宗が、江戸に花見の名所をつくるため多くの桜の木を植えました。
そんな折、長命寺の門番をしていた山本新六が、塩漬けにした桜の葉を使った「桜もち」を考案し販売したのが、桜もちの発祥といわれています。
当時、桜もちは江戸の大ヒット商品になり、文政8年の記録だと38万個余りもの数が販売されたそうです。

また、関東の「長命寺桜もち」は、薄い小麦粉の皮にこし餡を挟み、桜の葉で巻いたものですが、これが関西に伝わり「椿餅」の葉を桜の葉に変え「道明寺 桜もち」となったようです。

そんな山本新六の「長命寺桜もち」は、創業から今なお墨田区向島のお店で販売を続けており、300年の歴史を持つ超ロングセラー和菓子となっています。

5月の和菓子/子孫繁栄を願う縁起物『かしわ餅』

5月:旧暦/皐月(さつき) 季節/仲夏

男の子の節句である端午の節句に欠かせないお菓子が「柏餅」ですね。
この風習は江戸時代から始まったといわれており、柏の木の葉が、新芽が出るまで古い葉が落ちないことから、「家系が絶えない」ことを連想させ、縁起物として広まったようです。

また、柏餅が作られる以前は、中国から伝来した粽(ちまき)が食べられていました。
関西には柏の木がなかったことから、今でも関西では柏餅ではなく粽を食べる文化が残っています。

6月の和菓子/氷の代わりに食べられた『水無月(みなづき)』

6月:旧暦/水無月(みなつき) 季節/晩夏

水無月は白いういろうの上面に甘く煮た小豆をのせ、三角形に切り分けたお菓子。
平安時代に誕生した京都の伝統あるお菓子です。
室町時代の宮中では、旧暦の6月1日に氷の節句の行事として、氷室から氷を取り寄せて食べることで暑気払いをしていました。

氷は高級品だったため、庶民には手の届かないモノでした。
そのため、庶民は氷に見立てたお菓子『水無月』を食べて、暑気払いと厄払いを行いました。
今でも京都では6月になると和菓子屋さんの店頭に水無月が並び、売り切れるほどだそうです。

7月の和菓子/見た目にも涼やかな『葛切り(くずきり)』

7月:旧暦/文月(ふみつき) 季節/初秋

植物の根からとれる葛粉を水で溶かし、型に入れて加熱し板状に固めて細長く切り、黒蜜などで食べるお菓子です。
その歴史には諸説あり、古くは室町時代中期に作られたという説もあります。
また、京都祇園の「鍵善良房(かぎぜんよしふさ)」という創業300年の老舗和菓子店のくずきりは、大変な人気を誇るようです。

8月の和菓子/実は冬のお菓子でした『水羊羹(みずようかん)』

8月:旧暦/葉月(はづき) 季節/仲秋

水羊羹は寒天を煮て溶かし、砂糖とこし餡を混ぜて型に流し込み固めて作ります。
江戸時代に誕生し、明治になると庶民にも広く食べられるようになったそうです。

また、今でこそ夏に食べるイメージの「水羊羹」ですが、もともとおせち料理のデザートとして冬に作られていました。
さらに、普通の羊羹に比べ糖度が低く傷みやすいのも、寒い季節に作られていた要因の一つだそうです。

その後、冷蔵技術が発達し季節関係なく食べられるようになりました。
口当たりも軽く、さっぱりとした水羊羹は夏にぴったりの和菓子ですよね。

9月の和菓子/農耕の神様への感謝の気持ち『月見団子』

9月:旧暦/長月(ながつき) 季節/晩秋

秋の行事といえば十五夜のお月見。そこに欠かせないのが「月見団子」です。
江戸時代より、お米の収穫時期と重なる十五夜に、収穫の感謝と翌年の豊穣を農耕の神様である「月読命(つくよみのみこと)」に祈願する風習が定着しました。
また、月見団子の形は地方によって様々で、関西だと白い餅に餡子を乗せた団子を、静岡では「へそ餅」といって指でつぶしたような形の団子を使用するようです。

10月の和菓子/滋味あふれる秋のお菓子『栗きんとん』

10月:旧暦/神無月(かんなづき) 季節/初冬

炊いた栗に砂糖を加え、茶巾で絞って形を整えるのが和菓子の栗きんとんです。
さつま芋の餡を使用するおせちのきんとんとは作り方も異なり、栗の味そのものを楽しめるお菓子です。

栗きんとんの発祥には諸説ありますが、江戸時代中期ごろに中津川宿で旅人に提供していたのが始まりといわれています。
また、中津川駅前には「発祥の地」の石碑があり、栗きんとん発祥の地として広くアピールしています。

11月の和菓子/源氏物語にも描かれた『亥の子餅(いのこもち)』

11月:旧暦/霜月(しもつき) 季節/仲冬

古代中国の無病息災を願う風習「亥子祝(いのこのいわい)」が、平安時代に日本に伝わり、宮中行事となりました。
「源氏物語」にも亥の子餅が届く場面が描かれるなど、由緒ある和菓子なんですね。

亥の子餅の素材は地方によって異なり、大豆、小豆、ササゲ、胡麻、栗、柿、飴など様々なものが使用されます。
また、亥の子(イノシシの子)という名前の通り、焼きゴテなどで猪に似せた模様を付けたものが多くみられます。

12月の和菓子/冬至の柚子湯といっしょに『柚子饅頭(ゆずまんじゅう)』

12月:旧暦/師走(しわす) 季節/晩冬

冬至とは1年の中で、昼間の時間が一番短く、夜が一番長い日。
冬至には、湯船に柚子を浮かべた「柚子湯」に入ると、風邪をひかずに冬を越せるといわれています。

その理由には諸説あり、この時期に旬を迎える柚子の強い香りが邪気を払うと考えられており、禊として柚子風呂に入っていたという説や。
「ゆず→融通(ゆうずう)」「冬至→湯治(とうじ)」の語呂合わせという説もあります。

そんな古くから愛されてきた柚子を使ったお菓子は多く、柚餅子、柚子饅頭、柚子餅など、ゆずの皮や果汁を使用したお菓子は、冬にぴったりのお菓子ですね。

身近な和菓子にも歴史あり!

食べなれた和菓子の由来や歴史を調べると、意外な発見がありました。
特に江戸時代に生まれたお菓子には、江戸や京都の粋や風流さを感じるものが多いですね。
今後も各地の銘菓など、魅力的なお菓子をご紹介しますので、お楽しみに!

※記事内で紹介した内容には諸説あります。

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